2015年1月8日木曜日

大企業×ベンチャーの事業連携をうまくいかせるために必ずやっておきたいこと

昨今、大企業とベンチャー企業の連携が加速度的に増えてきて、
大企業とベンチャー企業で「事業提携」を結ぶケースも増えてきた。夢が広がると大変期待を持っている。一方でなかなか「事業提携」がうまく進まないという話もちらほら。
「事業提携」はどうしたらうまくいくか、私なりのTIPSを整理してみた。

事業側として、投資家側として色々な事例を見てきたけれども、ポイントは、「ユメ」「ヒト」「シクミ」の3つではないかと思っている。基本的なことばかりのような気がするが、意外と抜け漏れあるのではないかと思う。以下ご参考になれば。
*書きやすさ上、ややベンチャー側からの視点が多くなり恐縮です。

【ユメ】ストーリーと数字/事業計画の共有

この提携を通じて、どういう未来、ビジネスを実現したいのか。
大企業側、ベンチャー側、各々の目指す道とズレはないか。むしろ、各々の道を発展・拡大させる提携になるかどうか。
ここに乖離があるようだとなかなか提携は進まない。お酒を酌み交わすなんてことも交えながら、できればじっくり時間をかけて話をしたい。
                                            
上記、合意が取れれば、次はそのユメを数字に落とす。「事業計画」を作るのだ。
                         
これでより提携のリアルが増す。「お互いこういうふうに頑張らないと、この数字いかないよね」の「こういうふうに」をより具体化できておくとよいと思う。「不可能ではないが、頑張らないといかない数字」を数字をもって、でっかい夢を描きたい。意外と事業計画が作られない、ノリの提携事業は多い気がしている。たいていそういうのはうまくいかない。

【ヒト】この人とやりたいか

どんな仕事もそうだと思うが、「この人とやりたいかどうか」はとても重要だ。

特に提携事業というのは、思ったようにうまくいかない場合、双方の会社の論理で、簡単に解消に傾くケースが多い。うまくいかないときに「何が何でもやり遂げるんだ」と粘るところで、「この人とやっているんだから成功しないわけがない」というようなことが結構効いてくる。
担当同志がユメを共有するところでそういう間柄になっているかどうかは、成功確率に関係していると思っている。大企業と提携する場合、ベンチャー側は、担当者以外にも、その上の意思決定者(社長、役員、部長)とユメの共有はもちろん、「この人とやりたい!」と思えるような関係を持てているかは大事だと思う。大企業はある程度、各階層ごとに意思決定の裁量がある。担当の意思決定の範囲を超えると、その意思決定は部長、役員、社長へと委ねられる。彼らと関係を築けていると安心である。関係を築く際に、ベタだがお酒を酌み交わす、ということもあるだろう。
しかし大企業の役員クラスになると、飲みにお誘いしても、数か月先なんてこともまったくもって普通だ。余裕をもって計画したい。

*余談だが、提携事業で成功体験を持つ人は世の中にそんなに多くないんじゃないかと思っている。大企業とベンチャーでの提携事業ならなおさらだ。
日本にはベンチャーと提携事業を多く進めている大企業が数社ある。彼らは成功体験を持っていらっしゃる方が担当についていただけるので、どこが勘所か熟知されていて、成功確率が高いのだと思う。担当が提携事業の成功体験を持っている人だと成功確率は高まる。

【シクミ】進捗チェック/改善のための会議を設計する

事業が開始されたら、各種会議体を設けて、事業がうまくいっているのか、いないのかを定期的にチェックし、改善していきたい。週次でチェックすべきこと、月次でチェックすべきこと、年次でチェックすべきこと、と分け、それぞれ話すべき相手の都合を考えてスケジューリングしたい。たとえば以下のような感じで。

■週次:担当者どうしで細かい進捗チェック、改善等
■月次:部長・役員レベルで大枠の進捗チェック、改善等
■四半期/半年/年次:役員・社長等と今後の提携事業の方向性についての検討等

意識するのはベンチャー企業と大企業の意思決定の仕組みの差異である。
前述のとおり、大企業は各階層ごとに、決定できる範囲は決まっている。また、ベンチャーでは1日で決まることが、大企業では多少時間がかかってしまう場合が多い。(関係者が多いので一定仕方がないことだと思う)よって、定期的に意思決定者とMTGする機会を設けて、そこを意思決定のする場にする、というやり方はお互い合理的ではないかと思う。
また、大企業の場合、担当が変わってしまうことも多い。コミュニケーションを仕組化することで、その移行リスクも回避できる。

一方で、あまり大企業側の仕組みに適合しすぎるのも良くない、という話を大企業側のご担当の方から聞く。彼らは社内では出せない、ベンチャーのスピード感、ダイナミックな動きに期待して、アライアンスを組む、ということも多いとおっしゃる。
時には、信頼関係がある上で、大企業の論理と対峙する(たまには喧嘩する?)ことも意識したい。

以上、「ユメ」「ヒト」「シクミ」で整理をしてみた。

さて、ここまで3つの切り口で整理してきたが、やっぱりベースは人だと思う。私が知っている、成功した事業提携は、思いのある人たち、チームが形作っていた。死ぬ気でやっていた。中途半端な事業提携なんて成立しない。事業提携は山あり谷あり。うまく行かないときも、踏ん張れるか。事業提携成功の裏には必ず影の立役者がいる。

ご参考いただき、大企業×ベンチャーの提携事業がでっかく進むと嬉しい限りである。

*「事業提携」と一緒に最近は「資本業務提携」として資本を絡めるケースも多い。できれば、業務提携が先に進んでいると、資本提携もお互い結びやすいはずだと思っている。


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